労作性狭心症

狭心症:angina pectoris(AP)

狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を供給する冠動脈が、動脈硬化や攣縮などで狭くなり、心筋の血液供給が一時的に不足することで起こる「一過性心筋虚血」の状態です。
労作時やストレスで心臓の負荷が増すと虚血が顕在化し、安静や薬で改善することが多いことが特徴です。

このページでは、その中でも特に出現率の多い労作性狭心症についてご説明します。

労作性狭心症の特徴

心筋に血液を送る血管(冠動脈)が動脈硬化などで慢性的に狭くなり、心筋への血流が十分に供給されないことで起こります。

特に運動や階段昇降など心臓に負荷がかかる「労作」によって、心筋の酸素需要と供給のバランスが崩れて虚血が起こります。

労作性狭心症の症状

‐狭心症共通‐
・数分単位の発作性疾患
・胸部中央部および左側の痛みが多い
・放散痛のため頚部や肩付近への痛みの拡散も多い
・鈍痛や絞扼痛が多い

‐労作性狭心症‐
・心筋に血液を送る血管(冠動脈)が動脈硬化などで慢性的に狭くなり、心筋への血流が十分に供給されないことで症状が出現
・特に運動や階段昇降など心臓に負荷がかかる「労作」によって、心筋の酸素需要と供給のバランスが崩れて虚血が発生
・交感神経の緊張の多い朝方に置きやすい

労作性狭心症の検査

①問診
・痛みの部位
・痛みの性状
・誘発因子
など

②心電図(発作時)※安静時との比較が重要
・ST低下:不完全閉塞(75%以上の狭窄)+過剰労作
※完全閉塞(100%狭窄)の場合はST上昇を示し、これは冠攣縮性狭心症や急性心筋梗塞の際に生じやすい

③運動負荷試験(トレッドミル)
・心電図モニターを装着しトレッドミル(歩行ベルト)で運動負荷をかけ、運動に伴う心筋虚血の有無を評価

④負荷心筋シンチ
★狭心症診断には「負荷TL心筋シンチ」がよく用いられる
・運動や薬剤で心臓に負荷をかけ、放射性物質(タリウム201:Tl)を注射して心筋への血流分布を画像化
・安静時と負荷時の画像を比較することで、虚血部分や梗塞部分の特定が可能

④心エコー
・心筋虚血のサインである「壁運動の低下」「無収縮」「逆運動」などについて観察
・心機能評価として、左室駆出率(LVEF)や壁運動の異常分布なども確認
※負荷心エコーは、労作や薬剤(ドブタミン)による負荷時に検査

⑤冠動脈造影
狭窄度50%超えを「有意狭窄」と定義
狭窄度70%以上ではPCI治療を検討
‐AHA分類:狭窄度‐
0%:狭窄なし(正常)
25%:25%以下の狭窄(軽度)
50%:25%超‐50%以下(軽度~中等度)
75%:50%超‐75%以下(高度)
90%:75%超‐90%以下(きわめて高度)
99%:90%超‐99%以下(きわめて高度)
100%:完全閉塞

労作性狭心症の治療

①経皮的冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)
・カテーテルを用いて狭窄した冠動脈を広げ、血流を改善することを目的に実施
・橈骨動脈や大腿動脈からアプローチ
・造影で病変を確認しガイドワイヤーを通してPOBAとよばれるバルーンを拡張し、ステントを留置

②冠動脈バイパス術(CABG:Coronary Artery Bypass Grafting)
・虚血領域へ血液を再供給し、胸痛の改善・心筋保護・予後改善を目的に実施
・狭窄・閉塞した冠動脈の先に、新しい血流路(バイパス)を作る外科手術
・PCIで治療が困難な事例(LMT病変、三枝病変、高度な石灰化など)に実施
・心停止下で実施するオンポンプCABGと心拍動下で実施するオフポンプCABGがある

③薬物治療
【急性期】
‐ニトログリセリン

【症状コントロール】
‐カルシウム拮抗薬
‐β遮断薬
‐Ifチャネル阻害薬
‐ニコランジル

【予後改善】
‐抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)
‐スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
‐ACE阻害薬 / ARB

参考

●有賀 洋文 . パッとひける 医学略語・看護略語 . 株式会社 照林社 , 2014 .

●安達 洋祐 . ナースに知ってほしい100の病気 . 株式会社 メディカルレビュー社 , 2013 .

●日本心臓財団. 狭心症とは. 日本心臓財団. https://www.jhf.or.jp/q&a/disease/03

●国立循環器病研究センター. 冠動脈造影検査について. 国立循環器病研究センター. https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cath/angiography/

●日本循環器学会. 冠動脈疾患治療ガイドライン. 日本循環器学会公式サイト. https://www.j-circ.or.jp/guideline/

●MSDマニュアル プロフェッショナル版 編集部. 狭心症. MSDマニュアル プロフェッショナル版. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/04-心血管疾患/冠動脈疾患/狭心症