前立腺肥大症:benign prostatic hyperplasia(BPH)

前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態を前立腺肥大症といいます。これが悪性の場合を前立腺がんとして区別します。
2020年度の厚生労働省の調査によると、前立腺肥大症に罹患している患者数は日本で108万人以上で、50歳以上の男性の約5人に1人と言われておりその数は加齢に伴い増加します。
詳しい原因は解明されていないが、通常はクルミほどの大きさである前立腺が男性ホルモン(テストステロン・ジヒドロテストステロンなど)の影響を受けて鶏卵ほどにまで肥大することで、尿道を圧迫して排尿障害を引き起こす。
①排尿症状
・尿が出にくい(勢いの減少、出始めまでに時間がかかる、尿が枝分かれしたり途中で途切れる、力まなければ出ないなど)
②蓄尿症状
・昼間頻尿(1日8回以上)
・夜間頻尿(1晩1~2回以上)
・尿意切迫感(尿意を感じてからトイレに行くまでに間に合わない)
③排尿後症状
・残尿感
・排尿後の尿漏れ
①IPSS評価
・前立腺肥大症の症状の重症度を評価するための質問票
・残尿感/頻尿/尿線途絶/尿意切迫感/尿勢低下/腹圧排尿/夜間排尿回数の7項目について症状の程度に応じて0~5点の点数をつけ、QOLスコアとして症状による困窮度を評価
②身体診察
・直腸診(DRE)で前立腺の大きさ・硬さ・結節の有無を確認
③尿検査
・尿路感染や血尿を除外
・腎機能(血清クレアチニン)を確認
④残尿測定(超音波によるPVR)と尿流測定(ウロフローメトリー:Qmax)
・尿閉や閉塞の有無を評価
⑤経直腸超音波(TRUS)
・前立腺容積を測定
など
①保存療法
・軽度の症状でQOLへの影響が軽ければ生活指導(就寝前の水分制限・利尿作用のある薬剤/飲料の回避等)と経過観察
②主な薬物療法
‐α1遮断薬(α1ブロッカー)
・ユリーフ®(一般名:シロドシン)
・ハルナール®(一般名:タムスロシン)
・フリバス®(一般名:ナフトピジル)
・その他:ウラピジル、テラゾシン、プラゾシン など
‐5α還元酵素阻害薬(5-ARI)
・アボルブ®(一般名:デュタステリド)など
‐抗コリン薬
・ベシケア®(一般名:ソリフェナシン)
・トビエース®(一般名:フェソテロジン)
‐β3作動薬
・ベタニス®(一般名:ミラベグロン)
・ビベグロン®(一般名:ビベグロン)
‐PDE5阻害薬
・ザルティア®(一般名:タダラフィル)
など
●有賀 洋文 . パッとひける 医学略語・看護略語 . 株式会社 照林社 , 2014 .
●安達 洋祐 . ナースに知ってほしい100の病気 . 株式会社 メディカルレビュー社 , 2013 .
●「前立腺肥大症とは?原因、症状、治療法について解説」.MYメディカルクリニック クリニックブログ.https://mymc.jp/clinicblog/159751/.
●「前立腺肥大症の症状・診断・治療について」.医療法人慶仁会 治療のご案内.https://keijinkai-hp.net/chiryo/hidaisyo.html.
●社団法人日本泌尿器科学会 . 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン . 日本泌尿器科学会 . https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/27_lower-urinary_prostatic-hyperplasia.pdf.
●社団法人日本泌尿器科学会 . 前立腺肥大症診療ガイドライン(旧版PDF) . 日本泌尿器科学会 . https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/08_prostatic_hyperplasia.pdf.
●社団法人日本泌尿器科学会 . 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン(2023年アップデート情報) . 日本泌尿器科学会 . https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/27_lower-urinary_prostatic-hyperplasia_rev2023_info.pdf

