褥瘡ステージ別!外用薬と創傷被覆材の種類

褥瘡の治療・管理において、外用薬と被覆材の適切な選択は極めて重要です。

特に訪問看護の現場では、医師の診断に基づきつつも看護師が日常的に創部を観察し、状態変化に応じて迅速かつ柔軟に対応することが求められます。

褥瘡はその進行度によってステージ分類され、皮膚表面の発赤から深部組織の損傷に至るまで幅広い段階がありますが、これに伴い、使用する外用薬の目的も「皮膚保護」「感染予防」「肉芽形成促進」「壊死組織除去」など段階的に変化します。

褥瘡ステージⅠ(発赤)

外用薬(薬剤名・商品名)

ワセリン(プロペト®、サンホワイト®)
亜鉛華軟膏(亜鉛華単軟膏)

【主な効能】
‐皮膚保護
‐乾燥防止
‐摩擦軽減

推奨される被覆材

発赤部を外力・摩擦から保護でき、観察が容易で経過をアセスメントしやすい被覆材が効果的。

・テガダーム™ フィルム(スリーエム)

・オプサイト™ フレキシフィックス(スミス・アンド・ネフュー)

・IV3000™(スリーエム)
など

【適応滲出液量】
 少量〜無(発赤・表層)

【感染リスクへの適否】
 感染リスクの低い創に有効

【創部観察のしやすさ】
 良い(透明で観察しやすい)

【メリット】
 摩擦防止に有用
 薄く貼れて患者に負担が少ない
 観察が容易

【在宅における注意点】
 ・特に浸出液の多い急性感染時は不向きで、剥離する原因となる
 ・剥離時に脆弱皮膚を傷めないよう剥離剤などの使用も考慮が必要

褥瘡ステージⅡ(びらん・浅い潰瘍、水疱)

外用薬(薬剤名・商品名)

アズレンスルホン酸Na軟膏(アズノール®)
・ポビドンヨードゲル(イソジンゲル®)
・銀含有被覆材(アクアセル®Ag)

【主な効能】
‐抗炎症作用
‐感染予防
‐上皮化促進

推奨される被覆材

湿潤環境を維持できたり褥瘡に伴う疼痛軽減できる被覆材が効果的。

・デュオアクティブ®ET(コンバテック)
・デュオアクティブ® CGF(コンバテック)
・テガダーム(スリーエム)

など

【適応滲出液量】
 少量〜やや中等度

【感染リスクへの適否】
 基本的に感染リスク低〜中
 ※明らかな感染創には要検討

【創部観察のしやすさ】
 やや良い(不透明製品は観察がしにくい)

【メリット】
 湿潤環境を保持し上皮化が促進される

【在宅における注意点】
・多量滲出や感染疑い創には適さないため浸出液の量に注意
・長期間貼付で周囲皮膚トラブルが発生する可能性がある

・メピレックス®(モルニーケ)
・ハイドロサイト®薄型(スミス・アンド・ネフュー)
など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量

【感染リスクへの適否】
 感染リスクがある創でも使用可

【創部観察のしやすさ】
 やや難(不透明が多く、頻回の観察が必要)

【メリット】
 吸収力が高く滲出液管理に優れ、材質のクッション効果で疼痛軽減も期待できる

【在宅における注意点】
 ・交換頻度は滲出量に応じて検討が必要
 ・深部創では被覆下の感染徴候に注意が必要

褥瘡ステージⅢ(皮下組織損傷)

外用薬(薬剤名・商品名)

・ブクラデシンナトリウム(アクトシン®)
・トブラマイシン硫酸塩軟膏(トブラシン®)
・デキストラナーゼ製剤(デブリサン®)

【主な効能】
‐感染制御
‐肉芽形成促進
‐壊死組織除去

推奨される被覆材

滲出液吸収力が高いため感染リスクを軽減できる被覆材が効果的。

ソーブサン(アルケア)

・アルゴダーム トリオニック(スミス・アンド・ネフュー)

・カルトスタット®(コンバテック)
など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量(出血傾向でも可)

【感染リスクへの適否】
 感染リスクがある創でも使用可

【創部観察のしやすさ】
 やや難(ゲル化した被覆下の観察は困難)

【メリット】
 ・深部滲出に有効
 ・高吸収性によりゲル化し創面を保護できる
 ・止血効果を期待できる
 ・肉芽形成、上皮化を促進する

【在宅における注意点】
 ・被覆下の感染徴候を見落とさないために頻回の評価が必要
 ・創内の塊形成や過乾燥に注意

・アクアセル®(コンバテック)

など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量

【感染リスクへの適否】
 感染疑い〜高リスク創に幅広く有効
 ※Ag含有製品は抗菌効果あり

【創部観察のしやすさ】
 やや難(被覆後は交換頻度や観察方法に工夫が必要)

【メリット】
 ・滲出液を高い割合で保持し閉じ込めておくことが可能
 ・銀(Ag)含有製品は抗菌効果があり感染管理に有用

【在宅における注意点】
 ・銀製品は長期多用で刺激やアレルギーのリスクに注意
 ・使用期間と交換頻度を厳守する

・メピレックス®(モルニーケ)

・アルバリス®フォーム(モルテン)
・バイオフリーム®(スミス・アンド・ネフュー)
など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量

【感染リスクへの適否】
 感染リスクがある創でも使用可

【創部観察のしやすさ】
 やや難(不透明が多く、頻回の観察が必要)

【メリット】
 吸収力が高く滲出液管理に優れ、材質のクッション効果で疼痛軽減も期待できる

【在宅における注意点】
 ・交換頻度は滲出量に応じて検討が必要
 ・深部創では被覆下の感染徴候に注意が必要

褥瘡ステージⅣ(筋・骨に至る深部損傷)

外用薬(薬剤名・商品名)

・アルプロスタジル軟膏(プロスタンディン®)
・抗菌外用薬(イソジンゲル®、銀含有材)
・ブクラデシンNa軟膏(アクトシン®)
・酵素製剤(デブリサン®)

【主な効能】
‐感染制御
‐血流改善
‐壊死組織除去
‐肉芽形成促進

推奨される被覆材

ソーブサン(アルケア)

・アルゴダーム トリオニック(スミス・アンド・ネフュー)

・カルトスタット®(コンバテック)
など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量(出血傾向でも可)

【感染リスクへの適否】
 感染リスクがある創でも使用可

【創部観察のしやすさ】
 やや難(ゲル化した被覆下の観察は困難)

【メリット】
 ・深部滲出に有効
 ・高吸収性によりゲル化し創面を保護できる
 ・止血効果を期待できる
 ・肉芽形成、上皮化を促進する

【在宅における注意点】
 ・被覆下の感染徴候を見落とさないために頻回の評価が必要
 ・創内の塊形成や過乾燥に注意

ハイドロファイバーAg

・アクアセル®Ag(コンバテック)
・アクアセル®Ag+ Extra(コンバテック)

など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量

【感染リスクへの適否】
 感染疑い〜高リスク創に幅広く有効
 ※Ag含有製品は抗菌効果あり

【創部観察のしやすさ】
 やや難(被覆後は交換頻度や観察方法に工夫が必要)

【メリット】
 ・滲出液を高い割合で保持し閉じ込めておくことが可能
 ・銀(Ag)含有製品は抗菌効果があり感染管理に有用

【在宅における注意点】
 ・銀製品は長期多用で刺激やアレルギーのリスクに注意
 ・使用期間と交換頻度を厳守する

Ag含有アルギン酸(アルギン酸+銀)

・アルジサイト®Ag(スミス・アンド・ネフュー)
・ソーブサン®Ag(アルケア)

など

【適応滲出液量】
 中等度〜多量

【感染リスクへの適否】
 感染リスク高い創にも適応がある(抗菌性付与)

【創部観察のしやすさ】
 やや難

【メリット】
 ・滲出液吸収+抗菌効果のハイブリッドで、感染リスクの高い滲出創に有用

【在宅における注意点】
 ・銀製品は長期多用で刺激やアレルギーのリスクに注意
 ・使用期間と交換頻度を厳守する
 ・創周囲皮膚の評価を頻回に行う

参考

●日本褥瘡学会. 褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版. Mindsガイドラインライブラリ. 医療情報サービス Minds. 2018,
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00726/

●日本皮膚科学会, 日本創傷・オストミー・失禁管理学会, 日本褥瘡学会. 褥瘡診療ガイドライン(創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン 2023). 日本皮膚科学会, 2023,
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zyokusou2023.pdf

●厚生労働省. 褥瘡対策の手引き. 厚生労働省, 2015,
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084785.html

●日本褥瘡学会. ドレッシング材の使い方(褥瘡治療に用いられるドレッシング材の解説). 日本褥瘡学会,
https://www.jspu.org/

●アルメディア. これだけは知っておきたい ドレッシング材の選び方. アルメディアWEB,
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/

●津山中央病院. 褥瘡の治療(地域連携セミナー資料). 津山中央病院, 2015,
https://tch.or.jp/asset/00032/renkei/CCseminar/20150223jokuso.pdf

●ナース専科. ドレッシング材の種類と特徴. ナース専科,
https://nurse-senka.jp/

●看護のお仕事. 創傷管理におけるドレッシング材の選択と活用. 看護のお仕事,
https://kango-oshigoto.jp/

●平野 芹奈.褥瘡のドレッシング材!看護師が覚えておきたい種類と特徴、使い方を解説.レバウェル看護.https://kango-oshigoto.jp/media/article/54300/