2025年にチェックすべき最新情報⑥

こんにちは!あすてるコラム編集部です。

今回も、2025年お役立ち情報の6回目として、皆様に有益な情報をお届けいたします。

ぜひ最後までご覧くださいませ。

厚生労働省通知 介護施設等の利用者にWi-Fi利用料を徴収可能に

厚生労働省がこのたび、介護施設や介護事業所などにおいて通信機器を使用する利用者に対し、Wi-Fiなどの通信費用を「その他の利用料」として徴収することの可否について通知をだしました。

厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1355」の中で、Wi-Fiなどの通信設備の利用料を利用者から徴収することの可否について「徴収は可能」と解釈し、関係者に広く周知する形となります。

詳細は最新情報に添付されている「『その他の日常生活費』に係るQ&Aについて(平成12年3月31日) (各都道府県介護保険担当課(室)あて厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室) 」をご確認くださいませ。

対象サービスは特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護付き有料老人ホームなどのほか、通所介護や通所リハビリテーションなども含まれます。

インターネットの利用が要介護の高齢者にも広がっており、そのニーズに応えるべくWi-Fi環境を整備する介護施設などが増えていますが、その整備費用は事業所の「持ち出し」になっていることを問題視し、ある団体が厚生労働省に費用負担の明確化を求めていたそうです。今回の費用徴収の明確化は、それを受けての対応と思われます。

最近では、特養や老健の入所者様が、スマートフォンやタブレットを持ち込んで利用するケースも増えています。利用者様が施設が備えた設備を私的に利用したのであれば、その対価を相応に負担すべきであると考えるのは自然なことです。

採用コストやエネルギーコストが増大し、物価高が深刻な中、施設や事業所の経営上の問題を考慮し、今回国はあえてこういう通達を出したのではないかと考えられます。

出典

厚生労働省老健局 介護保険最新情報Vol.1355
https://www.mhlw.go.jp/content/001409305.pdf

ケアマネジャーの実態

2025年2月20日に、社会保障審議会介護保険部会が開催されました。

部会ではさまざまなことが議論されたのですが、その中で大変ショッキングであったのが「介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」)が不足する」という深刻な現状です。

高齢者数がピークを迎える2040年頃に向け、ますます複雑化する相談支援のあり方の中で、参加委員からは「現在のケアマネジャーの年齢構成等を踏まえると、10年以内には、ケアマネジャーの担い手は急激に減少していく」という声が多く上がったのです。

部会の資料の中でも、45歳未満のケアマネジャーが低下傾向である一方で、60歳以上のケアマネジャーは増加傾向であり、令和5年度の調査ではその割合が全体の3割を占めていると指摘しています。

地域によっては「ケアマネ難民」という言葉がよく聞かれます。きめ細かなケアマネジメントが必要とされる利用者様であっても、それを担うケアマネジャーが見つからないという事態があちこちで見られるようです。

ケアマネジャーの仕事は多岐にわたり、中には本来業務とは関係のない業務も多く、大きな負担になっています。中には業務量と収入面が釣り合わないという判断から、介護支援専門員の更新を断念する方も多くみられるのが現状です。

2027年の制度改正議論は2025年初頭から本格化していますが、この早い段階でケアマネジャーの処遇改善が論じられるのは異例のことです。

ケアマネジャーの絶対的な不足について、部会では「幅広い世代に対する人材確保・定着支援に向けて、様々な取組を総合的に実施することが必要」として問題提起しました。その打開策として、職責に見合う処遇の確保、業務範囲の整理、ICTの活用、法定研修の見直しなどが提案されています。

介護職員等処遇改善加算について、居宅介護支援事業所は依然として対象外になっていますが、これは何とかしなくてはならない重要論点です。ケアマネジャーに新たな処遇改善を図るだけでなく、業務負担の改善が急務です。それがなされなければ、ケアマネジャーの急激な減少を食い止めることはできないといっても過言ではないでしょう。

出典

第117回社会保障審議会介護保険部会
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001417710.pdf

2027年介護報酬改定の重要論点

昨年2024年に介護報酬改定が行われましたが、もうすでに次回改定に向けて審議されていることをご存知でしょうか?

今回の改定は、過去に例のない程の大改定となりました。

しかし次回改定も、今回同様波乱含みの様相を呈しているのです。

次回改定の論点はたくさんあるのですが、その中で特に大きな論点は3つあると考えます。

●利用者負担2割の対象拡大

●居宅介護支援費に利用者負担を導入

●要介護1・2の訪問介護・通所介護を総合事業に移行

上記はすべて、社会保障費の適正化を論点としたテーマになっております。

実はこのテーマ、今議論がはじまったわけではなく、もうかなり前から激論が繰り広げられて

おります。

財務省は何が何でも実現したいという姿勢を崩さず、かたや介護現場の現状を認識する厚生労働省が熱いバトルを展開し、先送りしているという現状があります。

次回改定で、上記3つのうち最低でも1つ、場合によってはすべて実現してしまうかもしれません(もちろん、すべて先送りの可能性もありますが)。

特に居宅介護支援費は、すべての介護サービスの中で唯一自己負担が存在しないサービスです。過去に自己負担化が再三議論されていながら先送りとなっているのは、居宅介護支援費が侵すことのできない領域、すなわち利用者の「セーフティ―ネット」といわれているからです。

次回改定で、もし居宅介護支援費に利用者負担の導入が実現することになれば、業界全体の混乱は避けられないでしょう。

訪問介護や通所介護も、軽度者については介護保険から切り離そうとしています。

市区町村独自のサービスになってしまうと、事業所の採算を圧迫しかねず、ひいては必要なサービス提供を担保できなくなる危険もあります。

いずれにせよ、利用者様に不利益があってはなりません。そして、介護事業所にとってメリットを奪うような改定になってしまってはいけないと思います。

改定は「まだ先」ではなく「目前にやってくる」と思っておいて間違いありません。

悲観的になり過ぎるのはよくありませんが、楽観的すぎるのは危険です。

介護事業所におかれましては、先を見越した事業運営にも注力していただきたいところです。

出典

財務省 財政制度等審議会「我が国の財政運営の進むべき方向」令和6年5月21日
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/01.pdf

以上、今回は3点にわたってご紹介いたしました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回の投稿もどうぞお楽しみに!