2025年にチェックすべき最新情報②

こんにちは!

今回は、2025年のスタートにあたり、訪問看護をはじめとした介護事業所においてチェックすべき事項として、「生活保護の国保加入計画」について解説いたします。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ!

生活保護と医療保険(介護保険)との関係

訪問看護やその他の介護サービスを運営されている皆さまであればご存知かとは思いますが、生活保護受給者の方が医療サービスを利用される場合、「医療扶助」が適用されます。

健康状態悪化などで就業できずに所得が著しく減少してしまった場合、申請・受理されることで生活保護を受給できるわけですが、それまで社会保険や国民健康保険に加入されていた場合は脱退することになります。

要は、生活保護受給者は医療保険の被保険者ではなくなる、ということになります。医療保険に加入していないため、医療機関に受診したり訪問看護サービス(医療保険)を利用したりする場合は、生活保護の「医療扶助」が適用されるわけです。

必要に応じ、福祉事務所から「生活保護医療券」が発券されます。医療機関等はこのようなバウチャーを受領し現物給付することになります。

この仕組みは、介護保険も基本的には同じです。しかし決定的に異なるのは、介護保険の場合に満65歳以上に達すると介護保険被保険者となって「保険証」が発行される点です。40歳以上65歳未満の医療保険未加入者で、かつ特定疾病などで介護認定を受けた場合にも介護保険証が交付されますが、それは全額介護扶助(すなわち生活保護)で賄われます。

65歳以上の「介護保険第1号被保険者」については、介護保険の自己負担分(1割)分を生活保護で賄い、それ以外の給付は「介護保険」で賄われます。

私たちのような介護サービス事業者(関係者)であれば、この仕組みはご存知かと思いますが、難しい仕組みですね・・・

しかし、この仕組みには問題点が指摘されております。

詳細は以下にて解説いたします。

生活保護受給者への医療提供の問題点

2024年秋、財務省は医療・介護に関する問題点をたくさん指摘してきました。

今回は「生活保護受給者への医療提供」に関する問題点について取り上げます。

財務省は、生活保護受給者への医療提供について、下記を問題視しております。

・生活保護受給者の頻回受診
・生活保護受給者への薬の過剰な処方
・生活保護受給者の長期入院

前述の通り、生活保護受給者は医療保険非加入者であるゆえ、上記に掲げた頻回受診・過剰な薬の処方が横行し、社会保障費を過剰に使っているのではないかと財務省が問題にしたのです。

確かにそういう見方もあるかもしれませんが、最近の「103万円の壁」問題にはじまる財務省の増税志向などを考えると、いやな気持ちにもなってしまいますね・・・

財務省のスタンスには不満も出てくるでしょうが、必ずしも必要がないのに過剰な受診や処方が横行しているとすれば、何とか対応しなければならないという理屈は理解できます。

生活保護受給者に「健康保険の加入」を促すことに?? 

今回の財政制度審議会において財務省が掲げた提案は、生活保護受給者に「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」に加入させてはどうか、という点です。

現状では医療保険未加入者である生活保護受給者について、社会保障費適正化の観点でガバナンスが利いていないのではないか、ということを問題視し、健康保険に加入する仕組みにしてしまえば、保険診療の仕組みを応用することで管理ができ、過剰な診療や処方等を抑制する形になるのではないか、と財務省は考えたわけです。

保険請求にすれば、資格確認やレセプト審査・支払などについてチェックを利かすことができるため、過剰な診療を炙り出すことが可能となる。

必要に応じて、過剰診療が疑われる保険医療機関等について、国が指導することもできるという話です。

結果として、社会保障費の適正化につなげることを国は期待しています。

上記のように、国は生活保護受給者に対して国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入させることを検討しております。

介護であればケアマネさんがいますし、限度額の兼ね合いもありますので、医療保険ほど青天井にはなりません。

しかし、医療保険の場合は利用限度という概念がないため、本人が受診を希望すれば際限なく医療が提供されてしまいます。

そのため、本当に必要な医療や調剤が提供されているかのチェックがしにくくなるため、国保等に加入させることで医療扶助のガバナンスを強化をしようとしています。

賛否両論あるかもしれませんが、今厚生労働省や財務省ではこのような検討がされているということは、皆様もご理解いただいたほうがよろしいかと思って今回取り上げました。

まとめ

2024年度の介護・診療報酬改定が行われたばかりなのに、次々と新しい情報が発信されるので、皆様もキャッチアップが大変かと思います。

しかし、かねてから叫ばれていた「2025年問題」もついに現実のものとなり、日本の社会保障政策も検討が繰り広げられております。

これからの介護・医療業界を見据え、最新情報を常にキャッチして次の一手を打つことは、介護事業所に絶対に必要な考え方であると考えております。

あすてるコラムでは、そのような重要な情報について定期的に発信し、介護サービス事業者様の運営に少しでもお役立てできればと考えております。

この「最新情報」は、まだまだ続いてまいりますので、どうぞ今後もご期待いただけますと幸いです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。