こんにちは!
入院医療機関でも早期の退院が求められる(入院の長期化→診療報酬に影響)ようになって久しく、特に退院日当日の訪問看護の介入について国も積極的な対応を求めており、加算算定で評価をする動きになっております。
先日取り上げました「退院時共同指導加算」に続き、今回も退院時での介入に対する評価となる「退院支援指導加算」「特別管理指導加算」について解説いたします。
両加算とも、算定するにあたっては留意すべき点がありますので、この機会に算定要件などを確認していただけると幸いです。是非最後までお付き合いくださいませ。
退院支援指導加算は、保険医療機関から退院する利用者に対して、退院日当日に在宅療養上必要な指導を行った場合に算定する加算です。
診療報酬の算定構造の観点から、退院日当日に訪問看護基本・管理療養費を算定することはできませんが、その代わりに算定できる加算がこの「退院支援指導加算」になるわけです。
退院支援指導加算は、保険医療機関から退院する利用者に対して、退院日当日に在宅療養上必要な指導を行った場合に算定する加算です。
診療報酬の算定構造の観点から、退院日当日に訪問看護基本・管理療養費を算定することはできませんが、その代わりに算定できる加算がこの「退院支援指導加算」になるわけです。
退院支援指導加算の報酬額は以下の通りとなっております。
長時間の訪問の場合(後述) 1回につき8,400円
上記以外の場合 1回につき6,000円
・看護師等(ただし准看護師は除く)が指導を行うこと・
・在宅での療養上必要な指導を「退院日当日」に行うこと
・利用者の退院時に訪問看護指示書の交付を受けていること
・退院支援指導の内容を訪問看護記録書に記録すること
・長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合または複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合に限る。
退院支援指導加算を算定するにあたっては、下記について留意する必要があります。
・原則一人の利用者に対して、1つの訪問看護ステーションのみ算定可能。
たまに複数ステーションが介入するケースがありますが、当該加算が算定できるのは1ヶ所のみです。算定される場合は他ステーションとの調整が必要になります。
・退院日の翌日以降、初日の指定訪問看護の実施時に訪問看護管理療養費の加算として算定する。
これは前述の通り、退院日当日の療養費算定ができないため、指定訪問看護の初回訪問日に当該加算を算定するということになります。
・初日の訪問看護が指導実施月の翌月の場合は、翌月に算定する。
・利用者が退院日の翌日以降初日の指定訪問看護実施前に死亡または再入院した場合は、その日にこの加算のみを単独で算定可能。
通常はこのようなパターンはなかなかありませんが、ご利用者様が退院された当日に退院指導を行い、退院日翌日(初回訪問)を迎える前にご逝去・再入院となった場合は、その日に当該加算のみを算定することが出来る点に注意しましょう。
・退院支援指導を行った場合は、その内容を訪問看護記録書に記録する。
・訪問看護ステーションと特別の関係にある医療機関からの退院の場合も算定可能。
「特別の関係」とは、同一法人の医療機関などが該当すると理解してよいでしょう。
・前述の「長時間の訪問」については、2024年の診療報酬改定により「複数回の訪問の合計が90分以上」であれば、より高い区分の加算が算定できるようになりました。
医療保険における「特別管理指導加算」とは、退院時共同指導加算を算定する利用者のうち、特定の状態にある利用者に対して退院時共同指導を行う時に算定できる加算です。
したがって、特別管理指導加算は退院時共同指導加算に紐づく加算ということになります。
「退院時共同指導加算」は、介護保険・医療保険の両方に存在しますが、「特別管理指導加算」については医療保険のみの適用となります。
1回につき 2,000円
退院時共同指導加算を算定している利用者(再掲)のうち、以下の状態(別表8)に該当する利用者に対して算定可能です。
・在宅麻薬等注射指導管理
・在宅腫瘍化学療法注射指導管理
・在宅強心剤持続投与指導管理
・在宅気管切開患者指導管理
・気管カニューレや留置カテーテルを使用している状態
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理
・人工肛門、人工膀胱の設置
・真皮を越える褥瘡
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定
特別管理指導加算は退院時共同指導加算を算定していることで同時算定し得るものです。
疾患についても、基本的に別表8に該当するご利用者様については対象となります。
訪問看護療養費の請求時に、意外に気づきにくい(算定可能なのに逃してしまう)ので、請求を担当される方は知っておいて損はないでしょう。
繰り返しになってしまって恐縮ですが、退院支援指導加算や特別管理指導加算は「退院時」における介入を積極的に行う事業所を評価するものです。
特に特別管理指導加算は、算定要件となる疾患が別表8に該当することが挙げられており、より重篤なご利用者様に積極対応するステーションであれば算定することが期待できます。
入院医療機関では、ずいぶん前から「社会的入院」を減らすことを目的に「在院日数の短縮」が求められてきています。
入院が長期化すれば診療報酬は縮減され、病院の収益を圧迫してしまうため、病院側も時にジレンマに苛まれながら退院支援をされていると聞きます。
患者様の住まい環境、家族構成、介護力などが多様化・複雑化し、退院支援の難易度が上がっているといわれています。
近年では「退院支援看護師」というスタッフを配置している病院も増えてきました。
医療ソーシャルワーカー(MSW)と連携しつつ、医療に詳しい看護師さんが患者様の退院後調整を積極的に行っています。
必要に応じて退院前カンファレンスを行い、居宅のケアマネジャー・訪問介護のサービス提供責任者・福祉用具専門相談員等といった方々が退院後の支援を行っていきます。
これも「時代の流れ」といってしまえばそれまでですが、退院を支援する病院関係者様のご苦労はいかばかりかとお察しいたします。
上記のような背景を勘案しますと、「退院後の速やかなケア」「より重篤なご利用者様への対応」は、今や訪問看護ステーションに課せられた使命といってもよいかもしれません。
訪問看護サービスの提供は本当に大変です。
訪問看護ステーションを中心に請求業務を代行する私たちは、ステーションの動きをつぶさに拝見しておりますので、その大変さは痛い程理解しているつもりです。
訪問看護ステーションの運営にあたり、今自らに何が求められているのかを考え、報酬改定をはじめとした今後の動きの趨勢を見極めることが必要なのではないでしょうか。
私たちは暑い日もお疲れの時も日々懸命にサービスを提供される訪問看護師さん、ヘルパーさん、ケアマネジャーさん等に対し、少しでもお役に立てるように努力せねばと改めて肝に銘じた次第です。
あすてるコラムでは、これからも訪問看護ステーションの運営に携わる皆様方を中心に、様々な有益情報を取り上げてまいります。
皆様に少しでも喜んでいただけるコラム執筆を心がけてまいりますので、今後とも益々のご愛顧を賜りますようよろしくお願いいたします。
今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。